Layer:02 GIRLS ⓪ 『lain』を鑑賞する上で留意すべきこと

2話に関する話を始める前に、1話で指摘できなかったことをここで言っておきたい。
1話での玲音と自殺した少女との邂逅は、あくまでも玲音の主観世界の中で起こったことである。そしてここから先でも、『lain』で描かれることは、玲音の主観の影響を受ける。否、それは玲音の主観そのものであると言ってもいい。私たち視聴者はこのことに自覚的であったほうがいいと思う。
作品を鑑賞する姿勢として、まずその主人公と自分との同一化を図って、その人に感情移入してみるのはいいことであるに違いない。だがそれで終わってしまっては、視聴者とその作品との関わり合いは、素朴すぎる感情によるものでしかなくなってしまう。
その作品を本当の意味で「鑑賞する」、すなわち「批判的に読む」ためには、そこから一歩引いて、作品の背後には何があるかということを考えなくてはならない。
この場合の「背後にあるもの」は、「他人から見た玲音の姿」ということになろうかと思う。殊『lain』の視聴者は、作品が徹底して主人公の主観を描写している分、より一層そのことに注意しないといけないように思える。